キャブ損害保険


タクバス見聞録




タクバス見聞録


このエッセイは、企画営業部のスタッフが、
全国のタクシー会社・バス会社の 皆様との交流の中で
思うところをとりとめもなく、記するものです。時には
失礼な表現が含まれることもありますが、
寛大なお気持ちでお読み頂ければ幸いです。

迷惑 N.A
規制緩和以降、不毛の割引競争が始まっている。不毛というのは結局、全社が同額を 下げ、勝者無き戦場となることである。それでもせめて乗客が喜んでいれば少しは収 穫があるのだが、消費者も3割、4割の値引きに慣れた昨今、1割くらいじゃニコリ ともしない。むしろ車内で運転手から愚痴を聞かされ迷惑がっている。そこで最初に 仕掛ける経営者の心構え、その一、中途半端はよそう、そのニ、真似できるものはよ そう、その三、進退をかけよう。でなければみんなの迷惑。

一枚上手 S.S
地方の20〜30台クラスのタクシー会社でよくあるケース。
息子さんである専務曰 く、「キャブさんよく来てくれた。何かやらなければいけないと思ってたんだ。この ビジネスプランを採用するよ」。一見めでたく契約成立。しかし数日後、お断りの連 絡あり。社長であるお父さんの「勝手なことをするな」の一言で撃沈。
これは父が最 終決定権を保持しつつ、息子に決定権者と思い込ませ、日々の仕事を頑張らせている よくあるケース。親のほうが役者が一枚上手です。

地殻変動 I.M
タクシー業界は、決断することを苦手とする経営者が多い。かって他の業種だが「独裁 はするけれど独断はしない」と言った経営者がいたが。特にこの「独」にすこぶる弱 い。といって経営スタッフはいないので自分で決めるしかない。
確かにこれまではど こかで決まったことを受けるか、どうするかといった、いわゆる決済が仕事だったわ けだからやむを得ない。しかしまだ耳毛ほどの数だが間違いなく脱許認可、筋肉体質 のトップが増えている。たぶん北京オリンピックの頃には経営トップも交代し、業界 も大きく変わっているだろう。その地殻変動が静かに起きている。

名経営者 T.G
長野で土建業とタクシー業を営む社長が言うには、前者は田中知事のおかげで前年対比 70%ダウン、地元では廃業する業者も多いという。ところがタクシーは5%ダウン 程度。小さなお金の蓄積で成り立つ商売は安定しててよい。そして何より余計なこと さえしなければ損をしないのが一番とのこと。
さて将棋の大山名人は、勝つより負けな い戦い方にこだわったらしいが、ビジネスも不安定な大きな黒字より、安定した小さ な黒字にこだわったほうが名経営者と呼ばれるかも知れない。

600円の客 K.K
選ばれるタクシー会社になるためにはどのようなサービスを提供すべきか、知人に投 げかけたところ、そもそも期待していない、目的地まで安全に連れてってくれればそ れでよいという。
そこでちょっと突っ込んで、毎日食べるランチもお腹がいっぱいに なったらそれでよいかと聞くと、それは違う、たとえ600円のランチでも味とか量 とか接遇などに差があるのでお店は選ぶという。時には10分以上歩いてでも行くと いう。
ということは安全輸送=満腹であるからサービス次第ではワンメーター、60 0円の客でも選んで乗る可能性はあるということか。

母親 Y.K
99プラスという、生鮮も置いたコンビニが躍進していたところ、いきなり天下のロー ソンがほとんどコピーに近いストア100で戦線布告。99プラスの社長はインタ ビュー中、眼が宙をさまよっていた。
このルールと仁義のない市場に、タクシー事業主を 送り込むのは、赤ん坊を戦場に出すようなもの。しかしタクシー業も、あと料金の自由化 が進めば、他人事ではない。そう思えば、行政という母親のふところでいつまでも眠っ てもいられない。それとこの母親、思いのほかクールかも知れない。

芸術品 S.Y
都内大手N社の副社長を陰ながら紹介するときは「多分あなたも会って10分以内に ファンになりますよ」と言う。
その人が思いを実現している。それも同業者を系列化 に置くという、まず信頼ありきという困難な事業だ。その成功を仄聞するたびに自分 の眼も曇っていなかったと安心する。もちろん私もファンのひとりだが、それではど こが魅力かと聞かれれば会ってみれば分かりますよと答えるしかない。たぶんいつの 時代も芸術品は説明不能なものなのだ。

恩返し N.A
大阪でワンコインタクシーが増殖中。仕組はエムケイと同じ企業内個人タクシーだが、 徴収額が一律月20万円と安い。これなら増える筈だ。しかしここのドライバーたち は稼ぐことだけが目的で集まるコントロール不能な、いわば糸の切れた凧。ますます 業界の品位を下げることになるだろう。
しかしこんな目先のテクニックばかり弄する ことなく、経営の王道、すなわち固定給で会社を黒字化できる人はいないのか。
ワン コインタクシーに、ドライバーをとられて悔しがる大手と呼ばれる会社の社長へ。利益 が出ているあいだに小さい会社でもいい。普通の会社づくりにチャレンジしてみませ んか。それが業界への恩返しでっせ。

自慢 S.S
絶好調の社長さんが来社された。この人は業界関係のセミナーにもよく顔を出し、い つも新しい知識を吸収している。そして学習するだけではなく行動に移す。また人脈 を大切にし全国的に仲良しネットワークももっている。その業績はいうまでもなく拡 大の一途を辿っているのだが、その秘訣のようなものが会話のなかに垣間見られる。
いうまでもなく事業の発展は人材如何であるが、その人材自慢がいたるところに出て くる。「実はうちにはいいのがいるんですよ。こいつのおかげで・・」と。そして意 外と自分の自慢話はしない。自分の話は「俺はだめだけれど、みんながしっかりして いるので・・・」。しかし猛将の下に弱卒なし、結局上が立派だということになるの だが、本気で謙虚なトップには自己中なトップとはレベルの違う凄みがある。

寂しい I.M
ニューヨーク在住の日本女性の投稿を読んだ。
久しぶりに東京に帰ってきてタクシー に乗ったが、道を知らないドライバーにあたってしまったらしい。そこで彼女曰く、 ニューヨークのタクシーは車は汚いし、ドライバーのほとんどが移民の人でことばも 分かりにくい。またマナーも劣悪で、運転中、携帯で誰かと大声で罵り合っているの もけっして珍しくない。しかし東京の道を知らないドライバーに比べるとずっとよい し、しばらく離れているとそれも懐かしくなるとのこと。ところで立ち食いのそば屋 でも味を問われる時代に、こんなにサービスを期待されていない仕事も珍しいと思い ませんか。寂し過ぎる・・。


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