キャブ損害保険


タクバス見聞録




タクバス見聞録


このエッセイは、企画営業部のスタッフが、
全国のタクシー会社・バス会社の 皆様との交流の中で
思うところをとりとめもなく、記するものです。時には
失礼な表現が含まれることもありますが、
寛大なお気持ちでお読み頂ければ幸いです。

勝ち逃げ K.K
堤義明氏が去った。中内功氏が逝った。太く、長いビジネス人生はない。それは勝ち 続ける博打はないのと同じ。なら、どこかで勝ち逃げをしなければならない。幸い、 博打であれば小心者とか卑怯者とか悪く言われるが、ビジネスでは勝っているとき、 すなわち業績の良いときに去れば、人に譲れば、太っ腹、勇気のある人とまったく逆 の評価となる。でもほとんどの人がしない、できない、何故だろう。もちろん博打で 勝ち逃げのできる人もほとんどいない。ほんに勝負の神様は罪深い。

この業界のリーダー Y.K
「過半数をとれなければ退陣する」。小泉首相の圧勝はこの一言で決まった。
まだ記 憶に新しいが、日産のカルロスゴーンさんも就任と同時にコミットメントを発表し、 達成できなければ社長を辞すると約束した。そして多くのひとたちがこのリーダーた ちの捨てる勇気、失う潔さに心を奪われ、瞬時に虜となった。この優れたリーダーた ちの成功を羨望の眼差しで見つめ、また拍手を送りつつ、小さな会社の代表の座に 恋々とする自分を虚しく、そして切なく思った人がこの業界にはたくさんいたことだ ろう。

歴史 S.Y
都内で救急タクシーサービスが始まる。ご都合的ではあるが、お上からの嬉しいプレゼントである。運転手という呼び方が多少侮蔑的にも使われる現在、社会的に評価の高い仕事を業界に取り込み、ドライバーさんのポテンシャルを引き出すことはよい事だ。
そもそも言われた区間の運転だけという単純労働に追いやること自体がドライバーさんにとって失礼なことだが、経営者には、タクシーの役割は電車と同じように安全に送り届ければよい、お客さんはそれ以外のものは求めていないと言い切る人が意外と多い。
しかし電車での移動とタクシーでの移動は、自動販売機で100円のコーヒーを買って飲むのと、喫茶店で400円のコーヒーを飲むほどの違いがある。もし喫茶店の経営者がお客さんは味や雰囲気など求めていないと言い切った時、間違いなくこの店は潰れるだろう。しかしかってこのようなお店でも潰れなかった時代もあったが、賢明でなければならない経営者は歴史に学ばなければならない。

スポーツ新聞 N.A
ドライバーさんと少し話しただけで、時には外見だけでも、なんの、どこの求人欄を 見て応募した人か、概ね、分かる。特にスポーツ新聞とリクルート誌の場合は百発百 中当てる自信がある。もし真剣に顧客サービスを考えるなら、スポーツ新聞での求人 は止めよう。

明るい絵 S.S
「原始、女性は太陽であった」が、今も女性は太陽であり、明るい。キャリアウーマ ンも、保険のおばちゃんも、ヤクルトのお姉さんも、掃除のおばちゃんもみんな明る い。そしてこの業界でも女性ドライバーは実に明るい。もし、タクシーが昼間だけの 仕事であれば、あるいは2種免というハードルがなければあっという間に女性の職場 になり、そして彼女たちはあっという間にデパ地下の食品売り場のような賑やかな職 場にしてしまうだろう。もちろん社内だけではなく車内も。
そこでもう男性がタク シードライバーという職業で妻子を養い、家のローンを払うことは不可能であるな ら、行政の協力を得て、タクシー業を共稼ぎに適した女性の仕事にした方がビジネス というキャンバスに今よりずっと明るい絵が書けるのだが。

珍しくて美しい花 I.M
かって「会社は金させ回っていればよい。まずドライバーの給料を県下一番にしてそ の喜ぶ顔がみたい」と熱く語った若社長がいた。結局この人は他の事業に手を出し、 会社は人の手に渡ったが、これまで会った経営者で唯一ドライバーの幸福について言 及した人である。
厳しく言えば、たぶん彼は思いつきの偽物だったと思う。もし彼が 本気の本物であれば、そこで働くドライバーもそのドライバーのサービスを受けるお客 さんもこんな珍しくて美しい花を、咲かすことはあっても枯らす筈がない。

初心 T.G
都内で新免のエコタクシーが快走している。地球温暖化防止を経営理念にあげ、ハイ ブリッドカーを使うと同時に、その収益の一部を熱帯雨林の再生のため使っているとい う。その車体には見た目は美しくはないが主張が大きく謳われ、協賛する人は選んで 乗っている。その登場は既存の事業者にとって、営業的にはその規模からも問題視す ることはないが、なかには自分たちが忘れていた事業の社会性と創業者の掲げた経営 理念を思い出した人がいたかもしれません。

生存権 K.K
ある会社が歩合給の規定に従い、社員の給与をその月、25000円に落としたとこ ろ会社を訴えた。その訴えの根拠は憲法に記した生存権の保証。このニュースで先の タクシードライバー残酷物語ともいえるテレビ番組を思い出した。
そこには3名のド ライバーが登場し、給与明細を見せるが、それぞれが5万円以下である。業界の人間 であれば、これを見てサボらず走ればそんなひどいことにはならないと思うが、本人た ちは街に出ていれば、また拘束されているのだからそれだけで働いているという主張 になる。
さてこの判決が出るのは世間もマスコミも忘れた頃だろうが、タクシー業界と しては労使ともに一審から注目しておく価値はあると思う。

破滅型、破壊型 Y.K
意味不明な行動をとる、破滅型経営者がいる。その行動とは無為無策な値下げ。運賃を 半額にして需要を増やし、売上アップを狙うという。ありっこない。みんなが追随し てまたまた収入を落とすだけ。そもそも市場が新しく、伸び盛りの業種では値下げが 需要を喚起することもあるが、供給過剰という構造を抱える業種は値下げしても客は 増えない。
例えば米屋が値段を下げても、消費者はそれまで以上に量は食べない。要は 値段の如何に関わらず、単純輸送であればこの程度しか需要がないということだ。その 身近な証左は、100円バスの失敗だろう。
しかし、もっともっと下げればそれは未知の 世界、やってみなければ分からない。そしてこれをやる人は破滅型ではなく破壊型、 その人は必ず、歴史に名前を残すことになる。

心の壁 S.Y
タクシー業界、お新しいことをやるには勇気のいる業界です。特に共同チケットとか共 同無線とかいう首輪がついているので自由な行動ができません。外した途端、野良犬 になって誰も守ってくれなくなるし、自分で3食、餌をとらなければならなくなりま す。それは量、質とも軽くなっていてもまだまだ安心、安全、安定という心の拠り所 を与えています。
しかし「みんなの客」で成り立つ商売はありませんので、一日も早く 「わたしの客」を開拓しなければなりません。そしてその前提が、いうまでもなく捨て る勇気なのです。例えばクロネコヤマトの小倉さんは大口顧客を捨て、宅配に挑戦し ました。また多くのベンチャー起業家が、大企業の社員という肩書きを捨てて夢に挑戦 しています。この大きな成功のために、小さな成功を捨てる勇気、これが凡才と天才を 仕切る、越えることの難しい心の壁なのです。


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