キャブ損害保険


ハイタク見聞録




ハイタク見聞録


このエッセイは、企画営業部のスタッフが、
全国のタクシー会社・バス会社の 皆様との交流の中で
思うところをとりとめもなく、記するものです。時には
失礼な表現が含まれることもありますが、
寛大なお気持ちでお読み頂ければ幸いです。

不幸な数字 N.A
タクシー利用者の90%以上が料金が高い、サービスが悪いなどの不満をもっている、との相変わらずのアンケートがネット上で発表された。同時に裏アンケートでドライバーが自分の会社をどう思っているか調査すればこれも90%以上が自分の会社に不満を持っていると答えるだろう。しかしこの業界に身を置く人たちはこの数字になんら驚かない。
しかし日々の競合でしのぎを削る異業種の経営者たちは驚くだろう。そして利用者を喜ばせ、働く者を幸福にすれば2兆2000億円の市場を独占できるチャンスだと思うだろう。しかし挑戦者は現れていない。やはりこの不幸な数字を解消できるのは優れた経営者のみであり、優れた企業家が挑戦できる条件を整えなければこの不幸な数字は永遠に続くことになる。

やめた方がいい S.S
福岡で距離を半分にして初乗り290円の運賃申請が出たが、やめたほうがいい。いかにも半額にした格好だが、こんなインチキは利用者にすぐ見破られる。話題先行でまず選んで乗ってもらい、その後ロングもいただき、と思っていたら大コケするのが関の山だ。
利用者は買い物のプロ、舐めてはいけない。この会社もこれまで同様、営業については運転手任せのようだから早晩彼らから低運収で突き上げをくらい、値上げの再申請をすることになるだろう。要は会社として決めたいことがあるなら営業と収入について会社が責任をもつというビジネスモデルに変更しない限りはなにも始まらない。

自己責任 A.W
業界新聞への個人タクシーさんからの投稿があった。その内容は景気が悪いのに法人は台数を増やす。その結果過当競争を生み、収入が激減。したがって運賃値上げを認めるべきだ。何より運転者の安定した生活こそ、利用者へのサービスと安全を約束する近道であると。もしこれと同じ内容を街の個人経営のレストラン店主が言うとどうなる。景気が悪いのにチェーン店はどんどん出店する。その結果過当競争を生み、収入が激減。したがって値上げをする。何より料理人の安定した生活こそ、お客様への美味しい料理と安心を約束する近道である。たぶん誰も聞いてくれないので馬鹿馬鹿しくて本人も言わないだろう。後者にあって前者にないのが「自己責任」という意識。

世の習い T.G
都内でハイヤーとタクシーの中間レベルのサービスを大手が模索している。それは黒塗りとドアサービスである。ただ車両の導入は簡単だがドアサービスは実行しないドライバーへの指導で四苦八苦している。そもそもこのサービスの発祥はエムケイであり、単純にコピーすればよいのだがそう簡単ではない。なぜならエムケイのDNAはサービス業であって運輸業ではない。要は成る木は花から違っているのである。しかしそのエムケイも最近は規模の拡大こそ見られるが真似しようというほどのサービスは生んでない。やはり革命家は一代限りというのが世の習いである。

固定給 K.K
大阪タクセンターの苦情事例集には女性や子供などに近距離の際「ワンメーターは行 かれん」「降りてください」と言い放つドライバーがいることを記している。レスト ランでコーヒー一杯を頼んで断られた人、店から追い出された人がこの世にいる?。 このように比較すればタクシー業界の異常性がよく分かる。そしてこの悪の原因がフ ルコミッション性にあることは誰もが知っている。要は人ではなくシステムがそうさ せている。好きで嫌われることをする人はいない。しかし、行政はこれは経営の問題 と言って指導しない。しかし実態は交通弱者への差別という社会問題を惹起してい る。そろそろ認可の条件として相当の固定給を義務づけるべき時がきている。

結局 Y.K
タクシーの規制緩和は宮内さんの大失敗ということで終わりを告げ、ドライバーの収 入アップの名目で値上げラッシュが始まった。ただどっこい新免OKというエイリアン の子供を業界という胎内に残した。もし値上げによりドライバーの収入、会社の業績 が上がるということになればその魅力にエイリアンは増殖する。そしてこれまでと同 じように利用者は増えないのにいたずらに台数だけが増え、ドライバーの収入は下が る。そして結局、利用者に値上がった料金だけが残る。要するに規制緩和が失敗では なくプレイヤーの変わらない中途半端な規制緩和が大失敗だったのである。

残念 S.Y
さらなる規制緩和で利用者のサービス向上を図るという芽は完全に摘まれた。それど ころか、一部の地域では内容も良くならないのに値上げという最悪の結果となってい る。しかし、利用者から理解が得られるようならそれも市場原理かもしれない。ただ 業界の世代交代の芽も摘まれたことは残念至極である。

ちょっと面倒だが N.A
女性や年寄りなど弱いと見るとわがままな態度を示すドライバーがいるが、レストラ ン、ホテルなどちょっとうるさい仲介を入れて呼んでもらうとその心配はたちどころ に消える。誰でも恐いものは知っている。

不思議なビジネス S.S
地方のタクシー業は平均賃金から見ると、ワーキングプア化し、生業としては崩壊している。それでも有り余るほどの台数とその2倍の数のドライバーがいる。その多くは平均月収15万円くらいだろうが、どうやって生活しているのだろう。それはヒヤリングするとすぐ分かる。
彼らの多くは、土地持ち、家持ち、働き者の女房持ち、という恵まれた条件を備えている。いわゆる総合力で生活を維持し、決して自分を日本一貧しいとも不幸だとも思っていない。もちろん、異業種でもう少し稼げる仕事があることは知っているが、同時にこれに代わる気楽な仕事はないということも知っている。確かに、仕事中にスポーツ新聞を読んだり、昼寝のできる会社は見あたらない。そして経営者もやむを得ず、それでよしとしている。タクシー業とはこのように利用者の存在とは無縁であっても成立可能な世にも不思議なビジネスなのである。

ガス抜き I.M
規制緩和で新免が増え、道を知らないドライバーが増えた。そして因果関係は明らか ではないが事故も増えた。そこで従来都市部でのみ実施していた地理試験を地方にも 導入し、ドライバーの質を高めるという。その土地で生まれ育ったドライバーに地理 試験?。これは明らかに新免排除のための業界への配慮であるが、いかにも利用者の ためであるかのごとく巧みなレトリックには恐れ入る。おまけにドライバーのマナー 試験まで付いている。いずれにせよこれにてガス抜き完了。

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