勝ち、生き残るためにビジネスを変化させる
常盤タクシー(山梨県)


山梨県櫛形町、人口約20000人、この田舎町においてタクシー業だけでは限界がある。
これまでお世話になった地域の発展のためにももっともっとお役に立ちたい、
また不況のおり、微力ながらも雇用の場を拡大したい。
といって異業種に進出するのはこのご時世本業をも危うくする。
なにかないか、常盤専務は考えた。しかし知恵のトンネルに出口が見えない。
そんな時、偶然、机の上のタウンページが目に入り、タクシーまわりのページを開いてみた。




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あった。葬儀サービス、霊柩車だ。幸いこの地にはない。
これならハード&ソフトともに冠婚葬祭の送迎の経験を活かせる。
また観光タクシーで培ったマナー、気配り等のドライバー教育には自信がある。
なにより町のことを誰より知っているのがわれわれタクシー会社、地元出身のドライバーたちだ。
すなわち町外の人には葬儀もビジネスだが、われわれは悲しみまで共有できる。
幸い地元農協が葬儀サービスを行っている。
早速話してみると案の定、事情を知らない町のドライバーでは遺族との一体感は生まれてこない、
その他人事のような態度にはかねてより不満があったとのこと。
そして農協の担当者の指導のもとスタート、その後は当然のごとく穏やかな海に向かっての順風満帆の船出と航海である。


ビジネスは学ぶことはできても真似ることはできない」。
エムケイさんの教育を実地研修しても、
名鉄さんの教育ビデオを見てもエムケイさんや名鉄さんには永遠になれない。
これは会社にはそれぞれ経営者、社員という「人」が営々と育んだDNAがあるからだ。
と同時に地域の慣習とか土地柄といった風土に育てられた
DNAも外からの業者には絶対に真似のできないものである。
したがって真の地域密着型、地域の名産品のようなサービスを確立すれば安定した経営になること請け合いである。



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「タクシー業界で生き残るのは現在大きな会社、強い会社ではなくこれから変化のできる会社である」。
ある経営者がいうように「会社に社訓を作ってはならない。
なぜなら数年、数十年前の決まり事を金科玉条の如く全員で唱えているようでは変化に対応できない。
そんな会社は大きくて強かったが変化に対応できなかった恐竜のように早晩滅ぶであろう」
そして勝ち、生き残るための変化にタブーはない。